うるう年とは
うるう年とは、一年を366日として、うるう日の2月29日を追加する年のことです。
うるう年は、地球の公転周期と世界中で使われている太陽暦(グレゴリオ暦)とのズレを解消するために設けられており、原則として4年に1度の周期で設定されています。
私たちが世界中で使用している暦は「グレゴリオ暦(太陽暦)」と呼ばれ、地球が太陽の周りを一周する公転周期を基に作られています。
しかし、地球が太陽の周りを一周する正確な時間は、約365.2422日(365日+約5時間48分)のため、「暦の365日」との間には毎年約0.2422日(約6時間)のズレが生じることになります。
この約6時間のズレが4年分積み重なると、合計で約1日分(約24時間)になります。
これらのズレを調整し、暦と実際の季節を正しく保つために、原則4年に一度のタイミングで1日(2月29日)を追加するのが「うるう年」です。
- うるう年でない通常の年は、平年(へいねん)と呼ばれます。
うるう年はなぜ2月?
うるう日が2月に追加されるのは、現在の暦のベースになっている古代ローマの暦で、1年の終わりが2月とされていたことに由来します。
古代ローマでは、新年は3月、年末は2月と考えられていました。
そのため、太陽の動きに合わせて暦と季節のズレを調整する必要が生じた際、年の終わりである2月に日を追加するのが自然だったのです。
その後、紀元前45年にユリウス・カエサルが太陽暦「ユリウス暦」を制定し、2月にうるう日を挿入する仕組みが整えられました。
さらに16世紀には現在の「グレゴリオ暦」が導入され、この仕組みが受け継がれることになったのです。
このような歴史的経緯から、現代でもうるう日は2月29日に追加されています。
うるう年がないとどうなる?
うるう年がなかった場合、暦と実際の季節のズレが毎年少しずつ大きくなり、農業や日常生活に悪影響が及びます。
- 農業への影響
暦と季節がズレると、種まきや収穫のタイミングが合わなくなり、作物の生育に影響が出ます。
また、農作業のリズムが乱れることで、収穫量の減少や品質低下につながる可能性があります。 - 経済・文化への影響
観光業や小売業など、季節イベントに合わせて動く業界に影響します。
また、季節に合わせて行われてきた行事や伝統儀式、祝日の時期も本来の意味を保てなくなります。 - 日常生活への影響
服装や暖房・冷房の使い分け、年間の生活リズムなど、私たちの日々の暮らしにも混乱が起きます。
「春なのにまだ寒い」「夏のイベントなのにまだ涼しい」といった感覚が当たり前になり、季節感が薄れてしまいます。
上記の理由から、うるう年による暦の調整は、正確な季節管理のために必要不可欠なのです。
うるう年の計算方法
現在広く使われているグレゴリオ暦(西暦)では、うるう年を以下1~3の条件に順番に当てはめて決めています。
- 西暦が4で割り切れる年はうるう年
- ただし、西暦が100で割り切れる年は平年
- ただし例外として、その中でも400で割り切れる年はうるう年
うるう年判定の具体例
| 西暦 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 2024年 | うるう年 | 4で割り切れる |
| 2000年 | うるう年 | 100・400で割り切れる |
| 1900年 | 平年 | 100で割り切れるが、400で割り切れない |
上記ルールによって、グレゴリオ暦では1年の平均日数が、地球の公転周期の365.2425日に近づくようになっています。
ただし、数千年程度のレベルでは1日のズレが生じる想定のため、将来的に暦が別途調整される可能性があります。
- 400で割り切れるうるう年は「スーパーうるう年」と呼ばれることもあります(例:2000年、2400年)
次のうるう年はいつ?【うるう年の一覧表】
次にうるう年が来るタイミングを知りたい方向けに、21世紀における直近のうるう年一覧をご用意しました。
21世紀における直近のうるう年一覧
| 西暦 | 和暦 | 干支 |
|---|---|---|
| 2004年 | 平成16年 | 申(さる) |
| 2008年 | 平成20年 | 子(ね) |
| 2012年 | 平成24年 | 辰(たつ) |
| 2016年 | 平成28年 | 申(さる) |
| 2020年 | 令和2年 | 子(ね) |
| 2024年 | 令和6年 | 辰(たつ) |
| 2028年 | 令和10年(仮) | 申(さる) |
| 2032年 | 令和14年(仮) | 子(ね) |
| 2036年 | 令和18年(仮) | 辰(たつ) |
| 2040年 | 令和22年(仮) | 申(さる) |
| 2044年 | 令和26年(仮) | 子(ね) |
| 2048年 | 令和30年(仮) | 辰(たつ) |
「うるう」の意味は?
「うるう年」の「うるう」は、漢字で「閏」と書きます。
「閏」には、平年よりも日数や月が追加されるという意味があり、その追加される日や月、秒そのものも指す言葉です。
ただし、「閏」は常用漢字表に含まれていないため、「うるう年」「うるう月」「うるう秒」のようにひらがなで表記されることが一般的です。
ちなみに、うるう年は英語で「leap year」または「intercalary year」と表記します。
時のずれを調整する工夫は、世界中で共通して行われている知恵といえるでしょう。
- 「閏」という漢字の成り立ち
-
「閏」は、門構え(門)の中に王が入る形の漢字です。
この漢字は、古代中国でうるう月に王が政務を休み宮中にとどまったという慣習に由来するとされ、「平年よりも月や日が多い」ことを意味するようになりました。
- 旧暦(太陰太陽暦)の時代には、うるう年の代わりに「うるう月」を挿入して暦と季節のズレを調整していました。太陽暦の導入により、現在ではこの仕組みは使われていません。
うるう秒とは?
うるう秒とは、地球の自転速度と原子時計による計時とのズレを補正するために追加・削除される秒のことです。
地球の自転はわずかに不規則なため、実際の地球の自転に基づく時刻(世界時:UT1)と、非常に正確な原子時計の時刻(国際原子時:TAI)との間に少しずつ差が生じます。
この誤差が±0.9秒以内に収まるよう、必要に応じて1秒を調整する仕組みが「うるう秒」です。
1972年の導入以降、うるう秒は以前は数年に一度挿入されていましたが、システムやネットワーク上でトラブルを引き起こすため問題視されるようになりました。
そのため、2022年の国際度量衡総会 (CGPM)・2023年の国際電気通信連合 (ITU)において、2035年までにUT1とUTCの差分(0.9秒)の許容値を広げることが決まっています。
うるう秒の扱いについては議論が続いており、将来的には廃止される可能性もあります。
なお、うるう年が地球の公転に合わせて「日付」を調整する仕組みであるのに対し、うるう秒は地球の自転に合わせて「時刻」を調整する仕組みのため、うるう年とうるう秒に直接の関係はありません。
うるう日(2月29日)の誕生日はいつ祝う?
うるう年の2月29日(うるう日)が誕生日の人は、一般的には2月28日・3月1日にお祝いするケースが多いようです。
ただし、日本の法律「年齢計算ニ関スル法律」では、年齢計算時には出生日を初日に含めることを定めているため、2月29日生まれの人が年を取るのは2月28日の24時となります。
とはいえ、実際に誕生日を祝うのは2月29日か、2月29日がない年であれば3月1日が一般的なため、3月1日にお祝いするのはごく自然といえるでしょう。
- うるう日(2月29日)生まれの人の運転免許の有効期限は?
-
道路交通法においては、2月29日の誕生日は、平年(うるう年でない年)では2月28日と規定されています。
自動車運転免許の有効期限は誕生日を基準に定められているため、2月29日生まれの人の免許証の有効期限は2月28日生まれの人と同じ扱いになります。
まとめ
うるう年は、地球の動きと暦のずれを調整し、季節を正確に保つための大切な仕組みです。
4年に1度を基本にしつつ、100年単位・400年単位で例外を設けることで、暦は長い時間の中でも高い精度を保っています。
身近なカレンダーの裏側には、こうした細かな工夫と長い歴史があることを知っておくと、季節の移り変わりをより深く感じられるでしょう。










